報いられた気持がした。
「お前みたいな疳癪もちの子でも、よう使てくれはるな。有難いこっちゃ」お君はそう言った。
「ほんまにいな」そんな大阪弁で豹一も笑いながら言った。
「月給を貰うのやさかい、お前も洋服こしらえたらどないや?」
「いや、構へん。これで結構や」
 今まで高等学校の制服をボタンだけつけかえて通して来たのだった。元来が見栄坊の彼だから、体裁の悪さは存分に感じて来たのだが、この際余計な金は使いたくないと我慢していたのだった。が、結局母親が執拗く薦めたので、月賦払の洋服をつくることにした。
 縞のワイシャツの上へ地味なネクタイをしめて、上衣のボタンを丁寧に二つもはめると、如何にもお勤人らしくなった。その姿でびっしょり汗をかきながら出社すると、社長は、「これは、これは」と、驚いた顔をして見せた。社長は褌一つだった。
 豹一は暑いというのを理由に、上衣を脱ぎ、往復にも肩に担いだ。それではじめて新調の洋服を着ているという気恥しさから免れた。が、不器用な彼はネクタイが上手に結べなかったので、道を歩きながらでもしょっちゅうネクタイの結び目へ手をやっていた。だから、誰も彼を一眼見れば、彼がお
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