俺が来年まで就職出来ないと決めていやがる)
と豹一は腹を立てたが、しかしふと、一年や二年は失業したままでいる人間がざらにあるのだと思うと、そんな言葉もあるいは有難く聴くべきところかも知れないと、ひどく元気のない歩き方で薄暗い公会堂の階段を降りた。
帰りの電車は立てこみ、乱暴に踏みつけられた。その拍子に、(俺は生命保険の勧誘員にも成れないんだ)としょんぼり頭に泛んで、腹を立てる元気もなく、片一方の足で踏まれた足をこそこそと撫でていた。が、帰ると、日本畳新聞社から記者採用の通知が来ていた。
翌日、勝山通の日本畳新聞社へ出掛けた。電車の中で「採用致し度く、ついては一応御面談の儀もあり――」と薄い青色のインクで走り書きしたハガキを何度もふところから取出してみた。本当に採用かどうかと不安な気持で、空いた席がありながら、ずっと立ったままだった。勝山通四丁目で降りて、新開地らしく雑然と小売店や鉱業事務所が両側に並んでいるコンクリートの道を勝山通八丁目の生野女学校の傍まで行ったが、それらしい会社は見つからなかった。番地もとびとびだった。ひきかえして、省線のガード下を折れて行くと、薄汚いしもた屋の
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