信じていた。だから野崎がもうあと三日休めるぞと言ったので、うかうか三日休むことにした。ところが、野崎の計算の間違いだとわかった。丁度その三日間だけ超過してしまったのである。そのほかに未だこんなこともあった。
 第一日目の試験が済むと、彼等は例によって京極へ出て、三条通の「リプトン」で翌日の試験の秘策を練った。その日の試験は独逸語で、これは豹一の答案を写して、どうにか落第点を免れたので、紅茶の味はうまかった。レモンの香が冬の日らしい匂いをぷんと漂わせて、彼等の寝不足の眼をうっとりと細めた。が、翌日の試験は歴史である。彼等は誰もノートを持っていなかった。勉強しようにも方法がなかった。歴史の教授は及落会議でも相当辛辣だということを赤井が言い出したので、三人とも憂欝になり、紅茶を三杯ものんだ。ところが野崎が同じ中学校出身の先輩に去年のノートを借りる手があると、良い智慧を出したので、もう歴史の試験は半分終ったのも同然だと、彼等は松竹座で映画を見た。松竹座を出ると、野崎はノートを借りに行くことになった。未だそこら辺をぶらぶらしていることに未練のある赤井は時間を打ち合せて、野崎と「ヴィクター」で落ち
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