か苦味走ったところがあるからね、奴さん相当眼が高いよ」
玉堂が言うと、他吉はぷっとふくれた。
「年甲斐もないちゅうのは、こっちのことや。阿呆なことを言いだして、年寄りを嬲りなはんな。わいはお前、もう五十四やぜ」
「ところが、先方だって五十一、そう恥かしがることはないと思うがな」
玉堂はそう言って、明日また来るから、それまで考えて置いてくれと、帰って行った。婆さんの名はオトラと言った。
他吉はぽかんとしてしまった。腹が立つというより、照れくさかった。からかわれた想いもあり、どんな顔の婆さんかと、想いだしてみる気もしなかった。
「此間《こないだ》のおばちゃん、うちへ来やはるのん?」
炬燵の火を見てやるために、蒲団のうしろから顔を突っこんでいると、君枝がぼそんと言った。
「早熟《ませ》たこと言わんと、はよ寝エ」
君枝のちいさな足を、炬燵の上へのせてやっていると、他吉はふと、ほんとうにあの婆さんが君枝いとしさに来てくれるのであれば、なんぼうこの子が倖せか、と思った。
すると、妙にそわついて来た。
他吉はその婆さんが来た時の状態を想像してみた。
朝、婆さんは暗い内に起きて、炊事を
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