を訊いた。
「――どんな息子さんだったの?」
「さあ……?」
母親に似て変に蒼い顔をした若い男が、長火鉢の前で新聞をあっちこっちひっくりかえしながら、そわそわうかがうようにこっちを見ていたことだけ、記憶しているが、それも随分漠然とした印象だったから、
「――どんな人か知らん。うちなんにも考えてへんかったもの」
さすがに赧くなりながら、わりに正直に答えると元子は肱で君枝を突いた。
「あんた頼りないお子やなあ。敵の陣地へ飛び込んで、ぼやぼやしてたら、あかへんし。もっとしっかりしイぜ」
自分だったら、すくなくとも、主任から行けと言われた時にぴんと来て、どんな学校を出た男か、教養があるかないか、ネクタイのこのみがどうかまで、一眼でちゃんと見届けてやるんだと、二十五歳の元子は、分厚い唇をとがらし、元子は実科女学校へ二年まで行ったのが自慢の、どちらかといえば醜い女であった。
喫茶店の前まで来ると、
「あんた、ちょっと珈琲のんで行けへん? 今日は奢ってもらわな損や」
元子が言い、さきに立ってはいった。
君枝はちらっと他吉の顔を想い泛べたが、贅沢といっても、月に一度だからと珈琲二杯分三十銭
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