信濃國
明治三十二年
淺井洌
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蠶養《コカヒ》
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(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]
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信濃の國は十州に
境つらぬる國にして
山は聳えて峯高く
川は流れて末遠し
松本伊那佐久善光寺
四つの平は肥沃の地
海こそなけれ物さはに
萬たらわぬことそなき
四方に聳ゆる山々は
御岳乘鞍駒か岳
淺間は殊に活火山
いつれも國の鎭めなり
流れ淀ます行く水は
北に犀川千曲川
南に木曽川天龍川
これまた國の固めなり
木曽の谷には眞木茂り
諏訪の湖には魚多し
民のかせぎは紙麻綿
五穀みのらむ里やある
しかのみならす桑取て
蠶養《コカヒ》の業の打ひらけ
細きよすかも輕からぬ
國の命をつなくなり
尋ねまほしき園原や
旅のやどりの寐覺の床
木曽の棧かけし世も
心してゆけ久米路橋
くる人多き束摩の湯
月の名にたつ姨捨山
しるき名所とみやびをが
詩歌によみてぞ傳へたる
旭將軍義仲も
仁科五郎信盛
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