国の命《いのち》を繋《つな》ぐなり

四 尋《たず》ねまほしき園原《そのはら》や
  旅のやどりの寝覚《ねざめ》の床《とこ》
  木曽の棧《かけはし》かけし世も
  心してゆけ久米路橋《くめじばし》
  くる人多き筑摩《つかま》の湯
  月の名にたつ姨捨山《おばすてやま》
  しるき名所と風雅士《みやびお》が
  詩歌《しいか》に詠《よ》みてぞ伝えたる 

五 旭《あさひ》将軍|義仲《よしなか》も
  仁科《にしな》の五郎|信盛《のぶもり》も
  春台《しゅんだい》太宰《だざい》先生も
  象山《ぞうざん》佐久間《さくま》先生も 
  皆|此《この》国の人にして
  文武《ぶんぶ》の誉《ほまれ》たぐいなく
  山と聳《そび》えて世に仰ぎ
  川と流れて名は尽《つき》ず

六 吾妻《あずま》はやとし日本武《やまとたけ》
  嘆《なげ》き給《たま》いし碓氷《うすい》山
  穿《うが》つ隧道《トンネル》二十六
  夢にも越《こゆ》る汽車の道
  みち一筋《ひとすじ》に学《まな》びなば
  昔の人にや劣《おと》るべき
  古来《こらい》山河《さんが》の秀《ひい》でたる
  国は偉人のある習
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