少年の悲哀
国木田独歩

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)少年《こども》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)山林|田畑《でんぱた》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#アステリズム、1−12−94]
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 少年《こども》の歓喜《よろこび》が詩であるならば、少年《こども》の悲哀《かなしみ》もまた詩である。自然の心に宿る歓喜《よろこび》にしてもし歌うべくんば、自然の心にささやく悲哀《かなしみ》もまた歌うべきであろう。
 ともかく、僕は僕の少年《こども》の時の悲哀《かなしみ》の一ツを語ってみようと思うのである。(と一人の男が話しだした。)

       ※[#アステリズム、1−12−94]

 僕は八つの時から十五の時まで叔父《おじ》の家で育ったので、そのころ、僕の父母は東京にいられたのである。
 叔父の家はその土地の豪家で、山林|田畑《でんぱた》をたくさん持って、家に使う男女《なんにょ》も常に七八人いたのである。僕は僕の少年《こ
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