初孫
国木田独歩
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)度《たび》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)御《おん》品|御《おん》贈り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ワッペウ[#「ワッペウ」に傍線]
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この度《たび》は貞夫《さだお》に結構なる御《おん》品|御《おん》贈り下されありがたく存じ候、お約束の写真ようよう昨日でき上がり候間二枚さし上げ申し候、内一枚は上田の姉に御《おん》届け下されたく候、ご覧のごとくますます肥え太りてもはや祖父《じい》様のお手には荷が少々勝ち過ぎるように相成り候、さればこのごろはただお膝《ひざ》の上にはい上がりてだだをこねおり候、この分にては小生が小供《こども》の時きき候と同じ昔噺《むかしばなし》を貞坊が聞き候ことも遠かるまじと思われ候、これを思えば悲しいともうれしいとも申しようなき感これありこれ必ず悲喜両方と存じ候、父上は何を申すも七十歳いかに強壮にましますとも百年のご寿命は望み難く、去年までは父上父上と申し上げ候を貞夫でき候て後われら夫妻がいつとなく祖父《じい》様とお呼び申すよう
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