潟Aプォル(Meliapor)町に在る、聖トーマス(St. Thomas)の墓の彫刻のそれによく類似して居る。十字架は雲形{の彫刻}に圍まれ、その下層には三行に、各行三個の大漢字が刻まれてある。この漢字は支那に一般に通用のもので、極めて明瞭に刻まれてある。碑の全面にも同種類の文字が刻まれ、則面にも文字は刻まれてあるが、それは種類の異つた外國字で、誰人も讀むことが出來ぬ。
この注意すべき古碑が出土すると、職工達は直にその由を官衙に上申した。知府が現場に出馬して、古碑を檢閲した後ち、之を見事な土臺の上に安置し、風雨の迫害を保護し、同時に諸人の觀覽を自由にすべく、碑の上に碑亭を構へた。珍奇な古碑の出土の評判が四方に擴まると、その古碑を見物すべく、澤山の人々が雲集した。丁度この頃は、キリスト教が可なり支那人の間に知られて居つたから、{キリスト教に關する若干の知識を有する}さる紳士は、この古碑を見て、キリスト教に關係あるものと推測して、{浙江省の}杭州府に在住する彼の友人で、教名を Leo{n}といふ、キリスト教信者の官吏の手許へ、その碑拓一枚を送り屆けた。この碑拓は、當時杭州府在住の宣教師達に
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