ウ[#二]悔意[#一]。惜亦不[#レ]得[#二]其姓名[#一]。
[#ここで字下げ終わり]
 この記事は、支那人の Cannibalism に關する一材料たるのみならず、同時に支那婦人の貞操觀を知るべき屈竟の一資料と思ふ。昔楚が呉の爲に大敗して、楚の昭王は妹の季※[#「くさかんむり/干」、読みは「び」、182−5]――十四五歳位の少女――を伴ひて逃亡した時、か弱き季※[#「くさかんむり/干」、読みは「び」、182−6]は、從者鍾建といふ者に負はれて、難を避けた。難平いで後、季※[#「くさかんむり/干」、読みは「び」、182−6]の結婚問題が起るや、季※[#「くさかんむり/干」、読みは「び」、182−6]は鍾建に負れて、既に彼此接觸したから、鍾建の外に男子には嫁し難しと主張して、遂に鍾建に降嫁したことがある(『左傳』定公五年條、『資治通鑑』後周紀二參觀)。この季※[#「くさかんむり/干」、読みは「び」、182−8]と、かの失名の少婦との間に、その婦徳自から相通ずる所あると思ふ。

         八

 (二)[#「(二)」は縦中横]籠城して糧食盡きた時に、人肉を食用する場合。
 食人
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