がしこんだ。
 死囚の罪人はひとり天狗といはず、すべて馬捨場へ埋めたものらしい。私は幼時母と車で下妻の石堂を通つたことあり、塔婆二三本倒れたのもあり、かしいだのもあつた。あすこには木戸の軍藏が埋められてゐるんだよと教へられた。石堂は馬捨場である。下妻で斬つた天狗の遺骸は皆此處に殘つてゐる筈だ。荒草離々、虫、秋に啼いてさびしき靈をなぐさめるであらう。



底本:「雪あかり」書物展望社
   1934(昭和9)年6月27日上梓
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「衛」と「衞」の混在は底本通りにしました。
入力:林 幸雄
校正:松永正敏
2003年7月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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