えたり、家をこしらえたり、トンボや、飛行機や、いたちや、雉を捕るわな[#「わな」に傍点]をこしらえたり、弓で海の中に泳いでいる魚をうったり。しかし、どれもこれも役立つようなものは一つもこしらえない。みんな子供の玩具程度のものばかりである。子供の時分には、絵で見て橇をこしらえて雪の降らない道の上をがた/\引っぱりまわって、通行人の邪魔をした。今、彼は、翼が六枚ついている飛行機をこしらえたらどうだろう、なんて空想している。小説をかいたりするよりは、大工か、樽屋になっていた方がよかったかもしれない。
 だが、樽屋になると、又賃銀が安い。古樽の吹き直しはいやだ、材料が悪い。など、常にブツ/\云うことだろう。



底本:「黒島傳治全集 第三巻」筑摩書房
   1970(昭和45)年8月30日第1刷発行
入力:Nana ohbe
校正:林 幸雄
2009年6月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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