体チモフエイは何か機会があると、自分が時務に通暁してゐる、時代後の人間にはなつてゐないと云ふ事を証明する為めに饒舌るのである。それで己は饒舌らせて聞いてゐた。
チモフエイは云つた。「イワンですか。その事をわたしは言つてゐるのです。その※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の持主の資本が、イワンが腹の中へもぐり込んだ為めに二倍になつた。ところでその機会に乗じて、我々はその外国人を補助して遣るべきである。然るに却てその※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の腹を切り開けようとするですな。どうです。そんな事をすべきでせうか。わたしの考では、イワンに愛国心がある以上は、自分を犠牲にして、外国人の持つてゐる※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の価《あたひ》を二倍三倍にしたのを喜んで、それを自慢して好いではありませんか。外人に資本を投じさせるには、それが第一の条件です。一|人《にん》の外人が成功すれば、それに次いで第二第三の外人が来る。※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を三疋も四疋も持つ
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