A夕方になってフョードル・パーヴロヴィッチは医者のヘルツェンシュトゥベを迎いにやった。医者はすぐに駆けつけてくれた。彼は慎重に病人を診察して(この人は県内でも最も慎重で丁寧なかなりな年配の上品な医者であった)、これはなかなか激烈な発作だから、『恐ろしい結果にならないとも限らぬ』しかし今のところ、まだはっきりしたことはわからないが、もし今日の薬がきかなかったら、明日また別な処方をしてみようと言った。病人は傍屋《はなれ》の一室へ寝かされたが、それはグリゴリイ夫婦の部屋の並びの部屋であった。フョードル・パーヴロヴィッチはその後ひき続いて、一日じゅういろんな災難を忍び通さなければならなかった。第一、食事はマルファ・イグナーチエヴナの手で調えられたが、スープなどはスメルジャコフの料理に比べると、『まるでおとし水のよう』だし、鶏肉はからからに焼き過ぎて、とてもかみこなせる代物ではなかった。マルファ・イグナーチエヴナは主人の手きびしい、けれど道理にかなった小言に対して、鶏はそれでなくてももともと非常に年をとっていたのだし、またわたしにしても料理の稽古《けいこ》ひとつさせていただいたわけでないからと抗
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