いでこしらえた寝台があって、その上に横たわっているさきほどの敵の姿が、アリョーシャの眼にはいった。子供は、さっきと同じ古外套に、もっと古ぼけた綿入れの蒲団《ふとん》をかけて横になっていた。体のぐあいがよくないらしく、燃えるような眸《ひとみ》から判断すると、熱が高いらしかった。今はさっきとは違って、恐れるさまもなく、『もう家にいるんだからだめだぞ』とでも言いたそうに、アリョーシャを見つめていた。
「え、なんだ、指をかんだと?」二等大尉は椅子から飛び上がらんばかりにして、「それはあなたの指をかんだのでございますか?」
「ええ、そうです。さっきあなたの坊ちゃんが往来で、大ぜいの子供を相子に石の投げっこをしてたんですが、なにしろ向こうは六人、こっちは一人ですから、僕が見かねて、そばへ寄って行きますとね、坊ちゃんが僕にまで石を放るじゃありませんか。二度目のが僕の頭に当たりました。で、僕が何の恨みがあるのかと聞きましたら、いきなり飛びかかって来て、ひどく僕の指をかんだんですけれど、僕にはさっぱりわけがわかりません」
「今すぐ、ぶんなぐってやります! 今すぐ、ぶんなぐってやりますよ!」二等大尉はもう
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