今自分のしでかした『不始末』ばかり気にして、後悔の念に自分で自分を苦しめるようなことはよして、ただなすべきことだけをすればよいのだ、どんなにしても、どうせ成るようにしかならないのだ、と肚《はら》を決めた。覚悟が決まると、彼はすっかり元気づいた。さて、兄ドミトリイの家をさして、横町へ曲がったとき、彼は空腹を感じたので、さきほど、父の所からとって来たフランスパンを、かくしから取り出して歩きながら食べた。これでやっと元気が出てきた。
 ドミトリイは留守であった。家の人たち――指物師《さしものし》の老夫婦とその息子は、いぶかしげにじろじろとアリョーシャを見まわした。『もう今日で三日も家へはお帰りになりません。ひょっとしたら、どこかへ行っておしまいになったのかもしれませんよ』老人はアリョーシャの根強い質問に対して答えるのであった。アリョーシャは老人が前から言い含められて、こんな返事をするのだと見てとった。『じゃ、グルーシェンカのところにいるんじゃないでしょうか、またフォーマのところにかくれてるんじゃありませんか?』と聞かれたとき(アリョーシャはわざと、ざっくばらんな風を見せた)、家の人たちは心配
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