要がないうえに、黙ってあなたのそばを離れてしまったほうが、僕としてもより多く威厳が備わるわけだし、あなたにもいやな思いをさせないで済むということは、自分がよく承知しています。しかし、僕は遠いところへ行ってしまって、またと再び帰って来ないんですからね、……これが永久のお別れなんです、……僕は破裂をそばで見ているのがいやなんです。しかし、もうこれ以上言うことができません、何もかも言ってしまいました、……さようなら、カテリーナさん、あなたが僕に腹を立てるわけにはいきませんよ。なぜって、僕はあなたより百倍以上も、ひどい罰を受けてるんですからね。もう永久にあなたに会えないという、この一つだけでもずいぶんひどい罰ですからね。さようなら、僕はあなたの握手を必要としません。あなたはあまり意識的に僕をお苦しめなすったから、今あなたを許すことができないのです。あとでまた許しましょうけれど、今は握手には及びません。

[#ここから2字下げ]
Den Dank, Dame, begehr ich nicht.(御身の感謝を余は求めず、夫人よ!)」
[#ここで字下げ終わり]

 彼は無理に作り笑いを浮かべながら
前へ 次へ
全844ページ中561ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング