迺kを言うのであった。
 アリョーシャは長老がそのときに言ったことを、多少は覚えていた。長老の話ははっきりとして、その声も、きわめてしっかりしていたが、話そのものはかなりに、とりとめのないものであった。彼はいろんなことを話したが、どうやら、自分の生前に話しきれなかったことを、臨終に際して、もう一度、すっかり言ってしまいたいらしかった。しかも、それはただ単に教訓をするためばかりではなく、自分の喜びや法悦をあらゆる人たちに分かち、さらにまた、生きているうちに自分の真情を吐露したかったのであろう。
「皆さんどうかお互いに愛し合うてください」と長老は説いた(このことはアリョーシャの記憶による)、「また神の子たちを愛してください。われわれがここへまいって、この部屋の中に閉じこもったからといって、俗世間の人たちより清いというわけはありませんのでの、それどころか、ここへまいった者は誰しも、自分が俗世間の誰よりも、またこの世の中の誰よりも劣るのだと認めているはずで……。したがって僧侶《そうりょ》たる者が部屋の中にこれからさき、暮らせば暮らすほど、いっそう痛切にこのことを自覚しなければなりませんのじゃ。
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