oえのないことであった。そうしたいっさいのもののうえに山のようにそびえ立っているのは、あの恐ろしい女を巡って、父と兄とのあいだにもちあがっている事件が、どういう結末に終わるだろうか? という宿命的な、解決しがたい疑問であった。今や、彼は自分自身がその目撃者であった。みずからその場に居合わして、彼は相対峙《あいたいじ》せる二人を見たのである。だが、不幸な人、本当に恐ろしく不幸な人と感じられるのは、ひとり兄ドミトリイだけであった。彼はもはや疑いもない、恐ろしい災厄に待ち伏せられているのである。そのうえに、アリョーシャがこれまで考えていたよりは、はるかにこの事件に関係の深い人がまだほかにもあるらしい。そればかりか、何か謎《なぞ》のようなものが現われたのである。兄のイワンは、アリョーシャが久しく望んでいたように、自分のほうへ一歩接近して来たけれど、彼にはなぜか、その接近の第一歩が、妙に薄気味悪く感じられるのであった。ところが、あの二人の女のことはどうであろう? 奇態なことであるが、さきほどカテリーナ・イワーノヴナのところを指して出かけたとき、ひどく当惑を覚えたにもかかわらず、今は少しもそんな気
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