ら穴の底へ落っこちるような気持を経験したことがあるかい、夢にでも見たことがあるかい? ところが、おれは今、夢ではなく、実際に落っこちてるんだよ。それでいてこわくもないのさ、だからおまえもこわがることはないよ。いや、こわいにはこわいけど、いい気持なんだ。いや、いい気持というより、有頂天なんだ……ええ畜生っ、どっちにしたって同じこった。強い心、弱い心、めめしい心――ええなんだってかまうもんか! ああ自然は賛美すべきかなだ。御覧よ。太陽の光りはどうだ、空は晴れわたり、木の葉はどれも青々として、すっかりまだ夏景色だ、いま午後の四時まえ、なんて静かだろう! おまえどこへ行くとこだい?」
「お父さんのとこへ。しかしその前にカテリーナ・イワーノヴナのとこへ行こうと思って」
「なに、あの女《ひと》のとこと親父のとこへだって! うふ! なんという符合だろう! 第一おれがおまえを呼んだのはなんのためだろう、おまえを待ち焦がれていたのはなんのためだろう、おれが心の襞《ひだ》の一つ一つ、いや、肋骨《ろっこつ》の一枚一枚で、おまえの来るのを待ちあぐねていたのはなんのためだろう? それはほかでもない、おれの代わり
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