ードロヴィッチは母屋から最も離れた庭の隅へ客をつれて行った。すると、こんもり繁った菩提樹の木のあいだの、すぐり[#「すぐり」に傍点]や接骨木《にわとこ》や莢叢《がまずみ》やライラックの叢《しげ》みの中から、忽然《こつぜん》として、古ぼけて、まるで残骸のようになった緑色の四阿《あずまや》が現われた。黒ずんでいて、今にも倒れそうになっており、壁は格子になってはいたが、屋根が葺《ふ》いてあって、まだ雨露をしのぐことができそうである。この四阿《あずまや》がいつ建ったかは知るよしもないが、言い伝えによると、なんでも今から五十年ほど前に、当時この家の持ち主であったアレクサンドル・カルロヴィッチ・フォン・シュミットという退職中佐によって建てられたものらしい。しかし、すっかりもう朽ち果てて、床は腐り、床板はぐらついて、用材からは湿っぽい臭いがしていた。四阿《あずまや》のまん中には木製の緑色のテーブルが地面へ掘っ立てになっていて、そのぐるりを、同じく緑色の床几《しょうぎ》が取り囲んでいたが、それにはまだ腰かけることができた。アリョーシャは最初から兄の浮き立った様子に気づいていたが、四阿へはいると、テーブ
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