言うんだい? まさか僧院長様がフォン・ゾンであらっしゃるはずもなかろうぜ」
「でも、わたくしもフォン・ゾンではございません、わたくしはマクシーモフです……」
「いんにゃ、おまえはフォン・ゾンだよ。方丈様、フォン・ゾンというのは、何者か御存じでございますか? これはある犯罪事件に関係したことでございますよ。この男は悪所で殺されたんです――お寺様のほうではああいう場所をこう申すそうですな――殺されたうえに、裸に剥《は》がれて、おまけにいい年をしておりながら、箱の中へたたきこまれて、貨物列車でペテルブルグからモスクワへ発送されたんですよ、しかも番号を付けられましてね。ところで箱の中へたたきこまれるとき、売女《ばいた》どもが歌をうたったり、手琴つまりピアノですな、あれを弾《ひ》いたりしたそうですよ。これが今申した当のフォン・ゾンなのでございます。それが墓場から生き返って来たのですよ。そうだろう、おいフォン・ゾン?」
「いったいこれはなんたることだ? どうしたというのだろう?」そういう声が僧たちのあいだから聞こえた。
「行こう!」と、ミウーソフはカルガーノフに向かって叫んだ。
「いんや、失礼じゃ
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