におまえをその親爺のところへやって、それからあの女の、つまりカテリーナ・イワーノヴナのところへ行ってもらって、それでもって親爺のほうも、あの女のほうもすっかりけりをつけようと思ってだよ、天使を使いにやろうってわけさ。おれは誰だって使いにやれたのだけれど、どうしても天使に行ってもらわなきゃならなかったんだ。だのに、おまえは自分からあの女と親爺のとこへ行くところだなんて」
「兄さんはほんとに僕を使いにやりたかったの?」こう痛ましげな表情を面に浮かべながら、アリョーシャが口走った。
「待て待て、おまえはそれを知ってたんだな。それに、おまえがすぐに何もかものみこんでしまったことは、ちゃんとわかるよ。しかし、黙っててくれ、しばらく黙っててくれ、悲しんでくれるな。泣くんじゃない!」
 ドミトリイ・フョードロヴィッチは立ち上がると、考えこみながら指を額にあてがった。
「あの女のほうからおまえを呼んだんだろ、あの女がおまえに手紙をよこすか、どうかしたんで、それで出かけるところだったんだろ? でなきゃおまえが出かけるわけがないからなあ」
「これが手紙ですよ」アリョーシャはポケットから手紙を取り出した。ミーチャは手早くそれに目を通した。
「それにおまえが裏道を通って行こうなんて! おお神々様! 弟に裏道を通らせてくださって、まるでお伽噺《とぎばなし》にあるばかな漁師に黄金《きん》の魚が手にはいったように、わたくしと出会わしてくだすったことをほんとに感謝いたします。さあ、聞いてくれ、アリョーシャ、聞いてくれ、弟。今こそおれは何もかも言ってしまうつもりなんだよ。どうせ誰かには話さなきゃならないんだからなあ。天上界の天使にはもう話したが、地上の天使にも話さなきゃならない。おまえは地上の天使なんだよ。よく聞いて、判断して、そして許してくれ……。おれは誰か一段上の人に許してもらわなきゃならないんだ。いいかい。もしある二人の人間があらゆる地上のきずなを断ち切って、どこかまるで稀有《けう》な世界へ飛びこんで行くとする。否少なくともその中の一人が、飛んで行って滅びてしまうに先だって、もう一人のところへやって来て、これこれのことをしてくれと、臨終の床の中ででもない限り、他人に持ちかけることのできないようなことを頼んだとしたら、その男はそれを諾《き》いてやるだろうかどうだろう?……もしそれが親友か兄弟であ
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