に頭をゴツンゴツンと打ちつけながら、地べたへ落ちて来ました。
「ほう? やっぱりほんとだったな、人間の頭がさけると言ったのは。でも、こりゃ水腫《みずぶくれ》どころじゃない。こんな仕事じゃ、頭はコブだらけになってしまうだろう。」
とイワンは言いました。
年よった悪魔は階段の一ばん下のところで一つとんぼがえりをして、そのまま地べたへ頭を突っ込みました。イワンはかれがどのくらい仕事をしたか見に行こうとしました。――その時急に地面がぱっとわれて紳士は中へ落っこっちてしまいました。そしてそのあとにはただ一つの穴が残りました。
イワンは頭をかきました。
「まあ何ていやな奴だろう。また悪魔だ。大きなことばかり言ってやがって、きっとあいつらの親爺に違いない。」
とイワンは言いました。
イワンは今でもまだ生きています。人々はその国へたくさん集まって来ます。かれの二人の兄たちも養ってもらうつもりで、かれのところへやって来ました。イワンはそれらのものを養ってやりました。
「どうか食物《たべもの》を下さい。」
と言って来る人には、誰にでもイワンは、
「いいとも、いいとも。一しょに暮すがいい。わしらにゃ何
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