じ」]た。
「ほう? じゃ、お前さん、お前さん自分自身でどうしてそんなに自分を苦めているんだね。頭が悪い時ゃ、気持はよくないだろうしね。それよりゃ手や背中を使ってもっと楽な仕事したらよさそうなもんだがね。」
しかし悪魔は言いました。
「おれがそんなことをするのも、みんなお前たち馬鹿どもがかわいそうだからだ。もしおれがそうしないと、お前たちゃいつまでたっても馬鹿だ。だが、おれは頭で仕事をしたおかげで、お前たちにそれを教えてやることが出来るんだ。」
イワンはびっくりしました。
「じゃ、わしらを教えてくれ。わしらの手が萎えしびれた時に、そのかわりに頭で仕事をするようにね。」
とイワンは言いました。
悪魔は人民たちに教えることを約束しました。そこでイワンは、あらゆる人たちに頭で働くことを教えることの出来る立派な先生が来たこと、その先生は手よりも頭でやる方がずっと仕事が出来ること、人民たちは残らずこの立派な先生に教わりに来てよく習わなければならないことだのを、ふれさせました。
イワンの国には一つの高い塔がありました。その塔には、てっぺんにまで登ることの出来る階段がついていました。イワンは
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