人残らず兵隊にしなくちゃいけません。すると今の五倍だけの兵隊を得ることになります。次には新しい銃と大砲を手に入れなくちゃなりません。私《わたくし》は一時に五百発の弾丸《たま》を打ち出す銃をお目にかけることにいたしましょう。それは弾丸《たま》が豆のように飛び出します。さてそれから大砲も備えましょう。この大砲はあたれば人でも馬でも城でも焼いてしまいます。何でもみんな燃えてしまう大砲です。」
シモン王はこの新しい司令官の言うことに耳をかたむけて、国中の若者残らずを兵隊にしてしまい、また新式の銃や大砲をつくるために、新しくたくさんの工場をたてて、それらのものをこさえさせました。やがて、シモン王は、隣りの国の王に戦をしかけました。そして敵の軍隊に出あうやいなや、シモン王は兵隊たちに命令して新しい銃や大砲を雨霰《あめあられ》のように打ちかけて、またたく間に敵の軍隊の半分を打ち倒してしまいました。そこで隣の国の王はふるえ上って降参し、その領地のすべてを引きわたしました。シモン王は大喜びでした。
「今度は印度王をうち平げてやろう。」
とシモン王は言いました。
ところが印度王はシモン王のことを聞いて
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