女の顔
上村松園
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)瓜実《うりざね》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き](明治三十八年)
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顔の時代変遷
美人絵の顔も時代に依って変遷しますようで、昔の美人は何だか顔の道具が総体伸びやかで少し間の抜けたところもあるようです。先ず歌麿以前はお多福豆のような顔でしたが、それからは細面のマスクになって居ります。然しいずれの世を通じましても、この瓜実《うりざね》というのが一番美人だろうと思います。
顔の中心
美人画の顔で一番何処を力を入れて描くかと申せば猶且眼です。眼付のよいのが一番でして、少々外の道具が悪くてもこの眼さえよければ絵が引立つものです。
描者に似る
大変妙な事を申しますが、絵に描く人物の顔は総じて描いた者に似るもので、事に依りますと、猫や鹿でも画家の顔に似る事があります。これは、自分の顔だけは朝夕鏡で見て研究を積んで居りますから、筆を取りますと自然画に現れるのだろうと思います。誠に可笑しいものでございますよ。
自分がモデル
モデルを使わないでもありませんが、こ
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