、それで頭がむせるということもない。いままで秋になると毛が抜けるというようなこともありませんでした。
 すきな顔、芝居の中などで、新地などと言う廓方面の一流の誰々言う知名の美人にしても沢山みるけれども、そして矢張絶世の美人というものもあるが、九條武子さんのような人は少ない。目が美しかったり、口元がきれいだったりする人があるが、この人のような高い品位のある顔立、これはああいう名門の一つの貴族型というものがあるでしょう。文展の〈月蝕の宵〉を描いた時には、モデルになってもらって、横向きやら、七三やらの姿を写させて貰った事がある。
[#地付き](昭和五年)



底本:「青帛の仙女」同朋舎出版
   1996(平成8)年4月5日第1版第1刷発行
初出:「都市と芸術」
   1930(昭和5)年3月号
※底本の二重山括弧は、ルビ記号と重複するため、「〈」(始め山括弧、1−50)と「〉」(終わり山括弧、1−51)に代えて入力しました。
入力:川山隆
校正:鈴木厚司
2009年1月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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