上が不満であった。
 先日、未知の詩人から手紙をもらった。その人も明治四十二年六月十九日の生れの由である。これを縁に、一夜、呑まないか、という手紙であった。私は返事を出した。「僕は、つまらない男であるから、逢えばきっとがっかりなさるでしょう。どうも、こわいのです。明治四十二年六月十九日生れの宿命を、あなたもご存じの事と思います。どうか、あの、小心にめんじて、おゆるし下さい。」割に素直に書けたと思った。



底本:「太宰治全集10」ちくま文庫、筑摩書房
   1989(平成元)年6月27日第1刷発行
   1998(平成10)年6月15日第4刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版太宰治全集」筑摩書房
   1975(昭和50)年6月〜1976(昭和51)年6月
初出:「博浪沙」
   1940(昭和15)年7月
入力:増山一光
校正:土屋隆
2005年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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