買い物籠をかかえて、こまかく震えながら一心に一心に待っているのだ。私を忘れないで下さいませ。毎日、毎日、駅へお迎えに行っては、むなしく家へ帰って来る二十《はたち》の娘を笑わずに、どうか覚えて置いて下さいませ。その小さい駅の名は、わざとお教え申しません。お教えせずとも、あなたは、いつか私を見掛ける。
底本:「女生徒」角川文庫、角川書店
1954(昭和29)年10月20日初版発行
1968(昭和43)年2月5日44版発行
入力:網迫
校正:野口英司
1999年2月16日公開
2003年11月18日修正
青空文庫作成ファイル:
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