たに疲れ切っているからだに、ウムと気合いをかけて腹這《はらば》いになり、煙草を吸い、
「女から来たラヴ・レターで、風呂をわかしてはいった男があるそうですよ」
「あら、いやだ。あなたでしょう?」
「ミルクをわかして飲んだ事はあるんです」
「光栄だわ、飲んでよ」
 早くこのひと、帰らねえかなあ、手紙だなんて、見えすいているのに。へへののもへじでも書いているのに違いないんです。
「見せてよ」
 と死んでも見たくない思いでそう言えば、あら、いやよ、あら、いやよ、と言って、そのうれしがる事、ひどくみっともなく、興が覚めるばかりなのです。そこで自分は、用事でも言いつけてやれ、と思うんです。
「すまないけどね、電車通りの薬屋に行って、カルモチンを買って来てくれない? あんまり疲れすぎて、顔がほてって、かえって眠れないんだ。すまないね。お金は、……」
「いいわよ、お金なんか」
 よろこんで立ちます。用を言いつけるというのは、決して女をしょげさせる事ではなく、かえって女は、男に用事をたのまれると喜ぶものだという事も、自分はちゃんと知っているのでした。
 もうひとりは、女子高等師範の文科生の所謂「同志」で
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