女の決闘
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)鴎外《おうがい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大地震|将《まさ》に起らんとするおり、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]
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第一
一回十五枚ずつで、六回だけ、私がやってみることにします。こんなのは、どうだろうかと思っている。たとえば、ここに、鴎外《おうがい》の全集があります。勿論《もちろん》、よそから借りて来たものである。私には、蔵書なんて、ありやしない。私は、世の学問というものを軽蔑して居ります。たいてい、たかが知れている。ことに可笑《おか》しいのは、全く無学文盲の徒に限って、この世の学問にあこがれ、「あの、鴎外先生のおっしゃいますることには、」などと、おちょぼ口して、いつ鴎外から弟子《でし》のゆるしを得たのか、先生、先生を連発し、「勉強いたして居ります。」と殊勝《しゅしょう》らしく、眼を伏せて、おそろしく自己を高尚に
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