なければならぬ。日本に於いて今さら昨日の軍閥官僚を罵倒《ばとう》してみたって、それはもう自由思想ではない。それこそ真空管の中の鳩である。真の勇気ある自由思想家なら、いまこそ何を措《お》いても叫ばなければならぬ事がある。天皇陛下万歳! この叫びだ。昨日までは古かった。古いどころか詐欺だった。しかし、今日に於いては最も新しい自由思想だ。十年前の自由と、今日の自由とその内容が違うとはこの事だ。それはもはや、神秘主義ではない。人間の本然の愛だ。アメリカは自由の国だと聞いている。必ずや、日本のこの真の自由の叫びを認めてくれるに違いない。」(後略)



底本:「グッド・バイ」新潮文庫、新潮社
   1972(昭和47)年7月30日発行
   1985(昭和60)年7月15日29刷
初出:「文化展望」
   1946(昭和21)年4月号
入力:土屋隆
校正:田中敬三
2009年2月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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