[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]れば地獄へ落ちる、とたけは言つた。たけが※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]すと、いい音をたててひとしきり※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つて、かならずひつそりと止るのだけれど、私が※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]すと後戻りすることがたまたまあるのだ。秋のころと記憶するが、私がひとりでお寺へ行つてその金輪のどれを※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]して見ても皆言ひ合せたやうにからんからんと逆※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]りした日があつたのである。私は破れかけるかんしやくだまを抑へつつ何十囘となく執拗に※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]しつづけた。日が暮れかけて來たので、私は絶望してその墓地から立ち去つた。
 父母はその頃東京にすまつてゐたらしく、私は叔母に連れられて上京した。私は餘程ながく東京に居たのださうであるが、あまり記憶に殘つてゐない。その東京の別宅へ、ときどき訪れる婆のことを覺えてゐるだけである。私は此の婆がきらひで、婆の來る度毎に泣いた。婆は私に赤い郵便自動車の玩具をひとつ呉れたが、ち
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