げ、あまりの無慈悲に私は思はず顔をそむけました。
「残忍でございます。およしになつたら、いかがです。」
私は砂浜へ引上げて来てしまひました。
「とらない人には、食べさせないよ。」禅師さまは平気でそんな事を言ひながらも船腹をさぐり、また一匹引きずり出して、ぐしやりと叩きつけて砂浜へはふり上げ、「蟹は痛いとも思つてゐません。」
それが五匹になつた時に、禅師さまは、低く笑ひながら砂浜へ上つて来られて、その甲羅のつぶれた蟹を拾ひ集めて、
「なんだ、今夜のはみんな雌か。雌の蟹は肉が少くてつまらない。焚火をしよう。少し手伝つて下さい。」
私たちは小枝や乾いた海草など拾ひ集めました。五匹の蟹を浅く砂に埋めてその上に小枝や海草を積み重ねて火を点じ、やがてその薪の燃え尽きた頃に、砂の中から蟹を拾ひ上げられて、
「食べなさい。」
「いや、とても。」
「それでは私がひとりで食べる。私は蟹が好きなんだ。どうしてだか、ひどく好きなんだ。」おつしやりながら、器用に甲羅をむいてむしやむしや食べはじめて、ほとんど蟹に夢中になつていらつしやるやうに見えながら、ふいと、「死なうかと思つてゐるんだ。」
「え?」私は、
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