、何せ、御仏の再誕といふ一事のために、おのづから、かの厩戸の皇子さまの御事などもお思ひ合せになられるらしく、どこやら気になる御様子で、十五日に御ところへお召しになりましたが、陳和卿もなかなかのお人で、将軍家のお顔をひとめ仰ぎ見て、大声挙げて泣いておしまひになりました。異人といふものは、そんなに悲しくなくても、自由にどんどん涙を流す事が出来るものかも知れませぬが、痩せこけた醜い老爺が身悶えして泣き叫んでゐる有様には、ただごとで無いやうな気配も感ぜられ、将軍家もこれにはお眉をひそめ、途方に暮れた御様子をなさいまして、やがて、陳和卿の泣く泣く申し上げる事には、将軍家はその御前身に於いて宋朝医王山の長老たり、我はその時、一門弟としてお仕へ申して居りました、おなつかしう存じます。
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ソレハ、夢デ見タコトガアリマス。
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将軍家は少しも驚かずに即座にお答へになりました。六年前の建暦元年六月三日丑剋、将軍家御寝の際、高僧一人御夢の中にあらはれて、汝はもと宋朝医王山の長老たり、とお告げになつたのださうで、
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誰ニモ言ハズニ居リマシタガ
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