同じ反対をするにしても、そのやうな紛々たる諸説の如く浅はかな疑念を抱いて反対なさるのではなく、尼御台さまは、やつぱり生みの母御らしく、だいいちに将軍家の御健康を御案じなされて、この御計画はおやめになるやう仰出され、将軍家はそれにお答して、なに、永くてたつた一年で帰つて来ます、六百年もむかしの厩戸の皇子さまの頃だつて気楽に隋と往来をしてゐたものです、御心配には及びません、と事もなげにおつしやつてお聞きいれの色は無く、また相州さま、入道さまがそろつてお諫め申し、
「たとひ一年間でも、将軍家が幕府をお留守になさるとは、先例の無い事で、おだやかでございません。」
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タツタ一年ノオ留守番モデキヌヤウデハ、重臣ノ甲斐ガアリマセヌ。
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「どのやうな御資格で御渡宋なさるのでございませうか。」
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日本ノ旅人デス
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「案内役が陳和卿では不安でございます。」
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知ツテヰマス。異人ハタヨルベカラズ、就イテ少シク学ブダケデス。
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取りつくしまも無く、相州さまと入道さまは互ひ
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