違うのよ。あたしは、ひばりをちっとも好きでないの。だから、こうして二人きりで話したってかまわないのよ。思い違いしないでね。あたしは、――」
 僕はマア坊の傍からそっと離れ、
「せいぜい、つくしと文通するさ。僕は、はっきり言うけど、つくしの手紙の下手さには呆《あき》れた。」
「知ってるわ。下手な手紙だからお見せしたんじゃないの。いい手紙だったら、誰《だれ》が見せるもんか。あたしは、つくしの事など、なんとも思ってやしないわ。そんなに人を馬鹿にするもんじゃないわ。」言葉も態度も別人のように露骨で下品になって来た。「あたしはもう、だめなのよ。あなたは知らないでしょう? とんまだから、気がつかないんだ。あたしは、あなたといい仲だって事を、もう、みんなに言われているのよ。どうするの? そう言われてもいいの?」
 顔を伏せて右肩を突き出し、くすくす笑いながらその肩先で僕をぐいぐい押すのである。

     5

「よせ、よせ。」と僕は言った。こんな時には、それより他に言い方が無いものだ。とんでもない事になったと思った。
「困る? どうなの? ね、この上、また恥をかかすの? ゆうべ、お月さまが、あかる
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