、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ。僕は今だから言うけれども、去年の暮にね、ここから五千円持って出たのは、さっちゃんと坊やに、あのお金で久し振りのいいお正月をさせたかったからです。人非人でないから、あんな事も仕出かすのです」
私は格別うれしくもなく、
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
と言いました。
底本:「ヴィヨンの妻」新潮文庫、新潮社
1950(昭和25)年12月20日発行
1985(昭和60)年10月30日63刷改版
入力:細渕紀子
校正:小浜真由美
1999年1月1日公開
2004年2月23日修正
青空文庫作成ファイル:
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