横]で包んだ。で包んだ。他はすべて彼の作として異論がない。

 はじめ、フィツジェラルドの英訳をテクストとした森亮《もりりょう》氏の傑《すぐ》れた訳業に啓発されて、全部|有明《ありあけ》調の文語体で翻訳したが(解説二、「ルバイヤートについて」の項参照)、その後|佐藤春夫《さとうはるお》氏のすすめにより口語体に改めた。同氏の御親切に対して深謝するものである。なお挿絵は小林孔《こばやしこう》氏に負うところ大である。
   昭和二十二年八月二十日
[#地から3字上げ]松戸にて   訳者
[#改丁]

  目次

 まえがき
解き得ぬ謎《なぞ》([#ここから横組み]1−15[#ここで横組み終わり])
生きのなやみ([#ここから横組み]16−25[#ここで横組み終わり])
太初《はじめ》のさだめ([#ここから横組み]26−34[#ここで横組み終わり])
万物流転《ばんぶつるてん》([#ここから横組み]35−56[#ここで横組み終わり])
無常の車([#ここから横組み]57−73[#ここで横組み終わり])
ままよ、どうあろうと([#ここから横組み]74−100[#ここで横組み終わり])
むなしさよ([#ここから横組み]101−107[#ここで横組み終わり])
一瞬《ひととき》をいかせ([#ここから横組み]108−143[#ここで横組み終わり])
 註
[#改丁]

[#ページの左右中央]
   解き得ぬ謎《なぞ》
[#改丁]

  1

チューリップのおもて、糸杉のあで姿よ、
わが面影のいかばかり麗《うるわ》しかろうと、
なんのためにこうしてわれを久遠の絵師は
土のうてなになんか飾ったものだろう?

  2

もともと無理やりつれ出された世界なんだ、
生きてなやみのほか得るところ何があったか?
今は、何のために来《きた》り住みそして去るのやら
わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!

  3

自分が来て宇宙になんの益があったか?
また行けばとて格別変化があったか?
いったい何のためにこうして来り去るのか、
この耳に説きあかしてくれた人があったか?

  4

魂よ、謎《なぞ》を解くことはお前には出来ない。
さかしい知者*の立場になることは出来ない。
せめては酒と盃《さかずき》でこの世に楽土をひらこう。
あの世でお前が楽土に行けるときまってはいない。

  5

生きてこの世
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