大宝《だいほう》の八幡様を見ていらっしゃい。」
 と師はすすめてくれた。それはこの地方で有名な神社だからだった。
 奥さんが百合ちゃんをおんぶして私を送って下さる。東京の話、文壇人の噂等をしながら、私設鉄道の大宝駅まで歩く。
 水田を渡ってくる風は寒かったが、なだらかな青葉の林に囲繞された淋しい大宝の小駅、私はある満足を持ってそこを発った。



底本:「空にむかひて 若杉鳥子随筆集」武蔵野書房
   2001(平成13)年1月21日初版第1刷発行
入力:林 幸雄
校正:小林 徹
2003年4月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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