とうか。」
と季武《すえたけ》と公時《きんとき》が目を丸《まる》くしました。綱《つな》は一人《ひとり》笑《わら》って、
「ばかな。鬼《おに》は大江山《おおえやま》で退治《たいじ》てしまったばかりだ。そんなにいくつも鬼《おに》が出てたまるものか。」
といいました。貞光《さだみつ》はやっきとなって、
「じゃあ、ほんとうに出たらどうする。」
とせめかけました。
「何《なに》ひと、出たらおれが退治《たいじ》てやるまでさ。」
と綱《つな》はへいきな顔《かお》をしていいました。貞光《さだみつ》と季武《すえたけ》と公時《きんとき》はいっしょになって、
「よし、きさまこれからすぐ退治《たいじ》に行け。」
といいました。
保昌《ほうしょう》はにやにや笑《わら》っていました。
綱《つな》は、その時《とき》
「よしよし、行くとも。」
というなり、さっそく鎧《よろい》を着《き》たり、兜《かぶと》をかぶったり、太刀《たち》をはいたり、ずんずん支度《したく》をはじめました。
綱《つな》も、外《ほか》の三|人《にん》もみんなお酒《さけ》に酔《よ》っていました。
貞光《さだみつ》は、その時《とき》
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