、いつも馬車の先に立ってあるいて行っては、麦刈り、草刈りをしている男とみると、おなじようなことをいって、おどしました。
「王様がお通りになったら、これはみんなカラバ侯爵《こうしゃく》の畠でございますというのだ。そういわないと、おまえたちみんな、挽《ひ》き肉にしてしまうぞ。」
そういってあるいたあとに、すぐ王様は通りかかって、麦畠も、牧場《まきば》もみんなカラバ侯爵《こうしゃく》のものだときかされました。そのたんびに、王様は、カラバ侯爵《こうしゃく》が、たいへんな広い領地《りょうち》をもっているのに、すっかりびっくりしておしまいになりました、そうしてそのたんびに侯爵《こうしゃく》にむかって、
「どうもたいしたご財産《ざいさん》で。」といいました。
このあいだに、猫吉親方は、ひとりさきに、どんどんあるいて行って、とうとう人くい鬼が住んでいる、りっぱなお城へ来ました。この人くい鬼は、世にもすばらしい大金持で、王様が、みちみち通っておいでになった、カラバ侯爵《こうしゃく》のものだという広大《こうだい》な領地《りょうち》も、じつはみんな人くい鬼のものでした。猫吉は、この人くい鬼のことをよく聞
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