上に住《す》んでいた大蛇《おろち》が、夜中《よなか》に、りょうしをのもうと思《おも》って出て来《き》たのを、賢《かしこ》い犬《いぬ》が見《み》つけて、主人《しゅじん》を起《お》こして助《たす》けようとしたのです。それが主人《しゅじん》に分《わ》からなくって、かわいそうに殺《ころ》されてしまいましたが、主人《しゅじん》のためを思《おも》う一念《いちねん》が首《くび》に残《のこ》って、飛《と》んでいって、大蛇《おろち》をかみ殺《ころ》してしまったのです。
りょうしはつくづくかわいそうなことをしたと思《おも》って、涙《なみだ》をこぼしながら、死《し》んだ犬《いぬ》のために、りっぱなお墓《はか》をこしらえてやりました。忠義《ちゅうぎ》な犬《いぬ》のお墓《はか》だといって、みんながおまいりをして、花《はな》やお線香《せんこう》を上《あ》げました。
底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年9月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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