極熊、龍騎兵などの玩具と、リンネルや羅紗で作つた数枚の小児服、小さな頭巾にかはいヽ靴足袋、それからボン/\の入《はい》つた大小の缶なんかであつた。
――あなたの子供なら美くしいでせう、屹度。
おれは咄嗟に都合よく女の情緒《サンテイマン》の調子を合せるやうな発想を得なかつたので、間に合せにこんな平凡なことを故意《わざ》とらしいアクサンで云つて、並の女と異《わざ》らないやうな表情で嬉し相に其等の TOUTES CHOSES を見比べて居る女の顔をじつと見た。女が俄かに醜くなつた気がした。
底本:「反響」反響社
1915(大正4)年1月号
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字を新字にをあらためました。
※底本の署名には、「よさの・ひろし」とあります。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:武田秀男
校正:門田裕志
2003年1月24日作成
2005年12月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング