的軍隊の全精神及び組織の典型的なものであった。他の軍隊は政治を一切駆逐している。然しこの軍隊は、良き兵士は、彼が奉仕している目的を、意識していなければならぬという信念を基礎としているのだ。彼は、ただに国の領土の防衛者たるばかりでなく、一個の世界的理想の従僕なのだ。赤軍は、その政治教育に関する教程をもっている。そしてすべての新兵は、その小銃を使いこなすのと同じように、この教程を充分に理解することを要求せられる」
ソヴェト同盟の勤労大衆は英雄的な建設力をもって、第一次五ヵ年計画を四年で完成し、今や第二次五ヵ年計画に着手している。一九二九年、五ヵ年計画が始まった当初から、その驚くべき生産拡張のプランと、更に驚嘆すべきその実現について多くの報告をわれわれはうけている。五ヵ年計画によってソヴェト同盟は失業者を一人もなくし全生産を或る部内では四〇パーセント―七〇パーセント増大させた。世界恐慌が停止するどころか進展しつつあるのに反して、ソヴェト同盟の社会主義建設は、巨大な成果を収めつつある。一九三二年上半期の成果は次の統計を示している。
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本年度 前年度
国有農場 一、二〇〇 五〇〇
集団農場 六、七〇〇 五、六〇〇
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動力四四パーセント増、石炭二七パーセント増、鋼鉄一一パーセント増、機械三六パーセント増(トラクター七五パーセント増を含む)そして、ブルジョア新聞ですら、「五ヵ年計画以来投資された巨額の資金は今や漸次利益をあげつつある」(八月十日朝日新聞)と報道させざるを得ないのだ。
之に反して、列国帝国主義においては、恐慌の進展に伴って、階級闘争の激化、一連の革命的昂揚、極度の大衆窮乏――反ソ戦争のための準備がみられる。
だが、驚くべきは、尨大な統計の字面ではない。そのことごとくがソヴェト同盟では真に勤労者の幸福のため、階級のない社会招来のためになされているのだ。ソヴェト同盟でドニェプル発電所が完成したという一事は決してただ数千万キロワット時の電力増加を意味するだけのものではない。数千万キロワット時の電力の増大、それに応じて工場が電化し、農村の電化とラジオ網が拡大するということは、ソヴェト同盟ではそれだけ早く真に自由な階級のない社会が来る、経済的基礎の昂揚を意味するものなのである。
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