へ行けば有る。昨日Aという子が使ったものを、今日は自分が使う。明日いらなければ別の子がそれを使う、みんなにそれは必要な品である。必要だから皆が使う権利をもっている、そしてそれを自分だけで専有することは間違っていると云う心持が養成されている。クラブにしろ、種々な研究会に於てにしろ、凡てその主義で行われているから、自分で買込んだり貯め込んだりする興味が減って来る。益々社会主義的感情が、自然に若い時代の人々の附焼刃でない感情になっている、従って若い人々が自分の働く場所、生活する場所の文化的設備増大に対する関心は、注目すべきものがある。
 中心になっているのは当然ピオニェール、コムソモールであるが、党員以外の若い者は、男女を問わず革命以前に見られなかった新人間として成長しつつある。
 一般月給は最近二年間に、例えば四十五ルーブルだったものが今六十二ルーブルとる程度に上っている。[#地から1字上げ]〔一九三〇年十一月〕



底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
   1986(昭和61)年3月20日初版発行
初出:「時事新報」
   1930(昭和5)年11月13、14日号
入力:柴
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