が脱皮した。
五来素川氏の大観に出された「社会革命の将来と国民の覚悟」を読む。失望に近い程度に於て雑駁なものだ。なかに、
仏国の「|瑠璃の浜辺《コート・ダジュール》」にある辟寒地で、二万人を入れるカジノの中に、世界の遊民が、一杯の珈琲に安閑として居るのを見て、アリストートルと希臘文明に顕れた幸福主義の結果だと論じたという事は、私に重大な反省を与える。幸福主義というのは、何を意味するものなのか、人間の幸福とは、はたして、安閑と公債の利子で生活して行く事なのか。
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
初出:同上
執筆:1919(大正8)年11月19日、12月1日
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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