て、テーブルかけを出しておくれ」
 何故そのテーブルかけがいるのかわけがわからない。
「今徹夜する程いそがしいのだから、二三日してすっかりかたづけましょう」
 今机がいるのではないらしいから
「――私はもう行くよ」
「それなら尚問題ない」
「ああ、私が居なくなればいつも問題はないよ」

 アセモに粉をふらしている。女中二人
「私のくびも出来た」というと
「へえ、お前のような強情な人はアセモの方がおそれをなすと思うと そうでもないね」
「やっぱり 人間の皮がはってあると見えるねエ」
「象の皮でもはってあるかと思うと……」

○テーブルかけのことにしろ イジわるい というのは成程こういうのかと思う。全然目的がわからない。
○女中たち だから感ぜず、鈍く、馬鹿になって動いている。働いているのではない。
○生活の恐ろしい侮辱である。

  ○こういうおふくろ
  ○父、なぐさまず、風流でもすく
   金金と云って、娘とくう[#「くう」に傍点]のはたのしみ
  ○妹よろしくたかる
  ○弟 長男根性
  ○よめ
  ○自分、

○ゴーリキイの伝をかいて居て自分の感じたことは、自分はまだまだ或人をその人として観る力に欠けているということである。
 鋭く感じる、判断する、そして通りすぎるとしたら、作家であろうか。いい、わるい、すき、きらい。それでファイルすると、いつか感受性は鈍く、厚く、反復的となる。
 つよさは底入れとなれ
 敏感に――だがすぐかたづけるな
      親父の薄[#「薄」に「ママ」の注記]はかさはここだ

○大衆的活動へのうつりかわり
 重く、やっこらとトロッコを別のレールにのせるような努力。



底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年5月30日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
初出:同上
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング